照度基準とは|事務所・店舗・倉庫・工場の明るさの目安と器具の選び方

2026.11.06

LEDベースライトで均一に照らされた事務所の執務室

「事務所の明るさは何ルクスあればいいのか」「LEDに替えるとき、何台付ければ足りるのか」−−事務所や店舗、倉庫・工場の照明を担当する方から、よくいただくご相談です。

照明の明るさには、法令で決められた最低限の基準と、JIS(日本産業規格)が示す推奨の目安があります。どちらを見ればよいかを押さえておくと、器具選びや台数の検討がぐっと進めやすくなります。

本記事では、照度基準の考え方と、施設別の明るさの目安、必要な台数のざっくりした計算方法、施設ごとの器具と光の色の選び方を整理します。

結論|照度の目安は JIS Z 9125。器具は「lm」と「台数」で考える

事務所の机の上に置いた照度計

法令(事務所衛生基準規則)では、一般的な事務作業の机の明るさは300ルクス以上が最低限です。工場など事務所以外の作業場は、労働安全衛生規則で作業の細かさに応じて300・150・70ルクス以上と決められています。

快適に作業できる明るさの目安は、JIS(日本産業規格)の推奨照度で考えるのが一般的です。屋内の場所ごとの推奨照度は、JIS Z 9125(屋内照明基準、2023年改正)で示されています。たとえば事務室は750ルクス、会議室は500ルクス、廊下や倉庫は100ルクスが目安です。

器具を選ぶときは、ワット数ではなく器具の明るさ(光束:lm)と台数で、目標の照度に届くかを確認します。

照度(lx)と光束(lm)の違い

光束(lm)は器具から出る光の量、照度(lx)は机や床に届く明るさ

照明の明るさを表す単位には、光束(ルーメン:lm)と照度(ルクス:lx)があります。

光束は、器具やランプが出している光の量です。LED器具のカタログでは「器具光束」として書かれています。照度は、机や床などの面に届いている明るさで、1平方メートルに1ルーメンの光が届いているときが1ルクスです。照度基準は、この照度で決められています。

同じ器具でも、天井が高いほど、部屋が広いほど、壁や床の色が暗いほど、面に届く照度は下がります。また、光束が同じくらいの器具でも、光の広がり方(配光)・取付の高さ・器具の配置によって、机や床の照度は変わります。器具を比べるときは光束だけで判断しないことが大切です。

器具は使い続けるうちに汚れや光源の劣化で少しずつ暗くなります。JIS の推奨照度は、こうした低下があっても作業面で下回らないように保つ値(維持照度)として示されています。

法令で決められている照度の基準

法令の照度基準とJIS Z 9110の推奨値の違い

働く場所の明るさは、法令で最低限の基準が決められています。

法令 対象 作業の区分 基準
事務所衛生基準規則 第10条 事務所 一般的な事務作業 300 lx 以上
付随的な事務作業 150 lx 以上
労働安全衛生規則 第604条 事務所以外の作業場(工場・倉庫など) 精密な作業 300 lx 以上
普通の作業 150 lx 以上
粗な作業 70 lx 以上

事務所の基準は2022年12月に改正され、それまでの3区分(精密・普通・粗)から2区分になり、基準も引き上げられました。「付随的な事務作業」は、資料の袋詰めのように、文字を読み込む必要のない作業を指します。

事務所衛生基準規則では、照明設備を6か月以内ごとに1回、定期に点検することも求められています。また、パソコンなどを使う作業では、厚生労働省のガイドラインで書類やキーボードの面を300ルクス以上にすることが示されています。

法令の値は「これを下回ってはいけない」最低限の基準です。実際の照明の計画では、作業のしやすさや目の疲れにくさを考えて、次の JIS の推奨値をもとに明るさを決めるのが一般的です。

施設別の照度の目安(一覧表)

どの JIS を見ればよいか

照明の JIS は、全体の考え方を示すJIS Z 9110(照明基準総則)のもとに、屋内のJIS Z 9125(屋内照明基準)、屋外の JIS Z 9126(屋外照明基準)、スポーツ施設の JIS Z 9127(スポーツ照明基準)があります。事務所・店舗・工場・倉庫など屋内の場所ごとの推奨照度は JIS Z 9125 で確認し、JIS Z 9125 に当てはまる場所がない場合は JIS Z 9110 の表を参照します。

以前は JIS Z 9110 の2010年版に施設別の推奨照度の表があり、今もその値を載せた資料が多く見られます。現行の JIS Z 9125:2023・JIS Z 9110:2024 とは場所の区分や値が異なる場合があるため、資料を見るときはどの規格の何年版の値かを確認してください。

主な場所の推奨照度

現行の JIS をもとにした、主な場所の推奨照度です。

施設 場所 推奨照度 出典
事務所・一般的な建物 事務室・設計室・製図室 750 lx JIS Z 9125:2023(※1)
会議室 500 lx JIS Z 9125:2023(※1)
受付・エレベーターホール 300 lx JIS Z 9125:2023(※1)
更衣室・便所・洗面所 200 lx JIS Z 9125:2023(※1)
階段 150 lx JIS Z 9125:2023(※1)
休憩室 100 lx JIS Z 9125:2023(※1)
物品販売店 陳列の最重要部 2,000 lx JIS Z 9125:2023(※1)
重要陳列部・レジ 750 lx JIS Z 9125:2023(※1)
商談室 300 lx JIS Z 9125:2023(※1)
廊下 100 lx JIS Z 9125:2023(※1)
工場・倉庫 普通の視作業(組立・検査・選別など) 500 lx JIS Z 9110:2024・JIS Z 9125:2023(※2)
倉庫内の事務 300 lx JIS Z 9110:2024・JIS Z 9125:2023(※2)
作業を伴う倉庫 200 lx JIS Z 9110:2024・JIS Z 9125:2023(※2)
荷積み・荷降ろし・荷の移動 150 lx JIS Z 9110:2024・JIS Z 9125:2023(※2)
倉庫 100 lx JIS Z 9110:2024・JIS Z 9125:2023(※2)

※1 遠藤照明「照度基準とは?JIS照度基準の一覧と用途別の明るさ目安」に掲載の JIS Z 9125:2023 抜粋表による。
※2 岩崎電気「照明計画資料 屋内照明」(2025年4月版)の照度基準表(JIS Z 9110:2024・JIS Z 9125:2023 からの抜粋)による。
いずれも2026年11月6日に確認。JIS 本文は日本規格協会で確認できます。

推奨照度は、机の上や床など作業する面で保つ値で、部屋全体を同じ明るさにする必要はありません。JIS では作業の内容などに応じて推奨照度を1段階上げ下げする考え方も示されており、2023年の JIS Z 9125 の改正では、事務所の一部の空間で、壁や天井の明るさ(輝度)の基準を満たせば推奨照度を1段階下げられるようになりました。設計の際は JIS 本文や器具メーカーの資料もあわせて確認してください。

同じ施設でも、細かい作業をする場所や商品を目立たせたい陳列棚は明るく、通路や倉庫は控えめにするなど、場所ごとに明るさを変えるのが基本です。

必要な台数のざっくりした計算方法

目標の照度と床の面積から、必要な光束と器具の台数を計算する方法

目標の照度に必要な器具の台数は、次の式でおおよその見当をつけられます(光束法)。

  • 必要な光束(lm) = 目標の照度(lx)× 床の面積(m²)÷(利用率 × 保守率)
  • 必要な台数 = 必要な光束 ÷ 器具1台の光束(lm)(小数点以下は切り上げ)

利用率は器具の光のうち作業面に届く割合で、部屋の形・天井の高さ・内装の色で変わります。保守率は、汚れや劣化で暗くなる分を見込む係数です。どちらも部屋と器具によって変わるため、ここでは計算の例として、利用率0.6・保守率0.8という仮定の値を使います。

条件(例) 目標 500 lx の場合(概算) 目標 750 lx の場合(概算)
床の面積 10m × 8m = 80m² 10m × 8m = 80m²
利用率 × 保守率(仮定値) 0.6 × 0.8 = 0.48 0.6 × 0.8 = 0.48
必要な光束 500 × 80 ÷ 0.48 ≒ 約83,000 lm 750 × 80 ÷ 0.48 ≒ 約125,000 lm
器具1台の光束(例) 5,200 lm(40形ベースライトを想定) 5,200 lm(40形ベースライトを想定)
必要な台数(概算) 約17台 約25台

この17台・25台は、仮定の値を入れた計算の例で、設計で決めた台数ではありません。実際の明るさは器具の配光や配置、取付の高さ、窓からの光でも変わるため、器具を決める段階では、メーカーの照度計算や照明シミュレーションで確認してください。

今ある蛍光灯器具を同じ位置でLEDに替える場合は、今と同じ程度の光束の器具を選ぶのがひとつの目安です。ただし光束が近くても、配光や器具の形が変わると机や床の照度は変わるため、配光もあわせて比べてください。

施設別の推奨器具と光の色

高天井用のLED照明で照らされた物流倉庫
施設 主な器具 光の色(色温度) 選ぶときのポイント
事務所・執務室 LEDベースライト(埋込形・直付形) 昼白色(5000K前後) 机の上のまぶしさ(グレア)を抑えたもの。会議室は調光できると便利
店舗・売場 ダウンライト、スポットライト 電球色〜白色(3000〜4000K前後) 商品の色がきれいに見える演色性の高いもの(Ra90以上など)。陳列棚は売場より明るく
倉庫 高天井用LED、LEDベースライト 昼白色 天井の高さに合った配光。通路と棚の間が暗くならない配置
工場 高天井用LED、防湿・防塵形のベースライト 昼白色〜昼光色 粉じん・湿気・油煙など環境に合った器具。作業台は手元照明も検討
廊下・階段・トイレ ダウンライト、ブラケットライト 昼白色〜電球色 人感センサー付きで消し忘れを防ぐ
ダウンライトとスポットライトで陳列棚を照らす物販店

器具の種類ごとの選び方は、LEDベースライトの選び方、店舗向けスポットライトの選び方、LEDダウンライトの選び方で詳しく解説しています。

よくある質問(FAQ)

Q

Q1. 事務所の明るさは何ルクス必要ですか?

A

法令(事務所衛生基準規則)では、一般的な事務作業の机の上で300ルクス以上が最低限です。快適に作業できる目安としては、JIS Z 9125(屋内照明基準)で事務室750ルクスが推奨されています。

Q

Q2. 法令の基準と JIS の推奨値は、どちらに合わせればいいですか?

A

法令の基準は必ず満たす必要がある最低限の値です。そのうえで、照明の計画は JIS の推奨値を目安にするのが一般的です。作業の内容や使う人の年齢によっても、適した明るさは変わります。

Q

Q3. 照度はどうやって測りますか?

A

照度計を、机の上など実際に作業する面に置いて測ります。部屋の何か所かで測ると、明るさのむらも分かります。窓からの光の影響を避けたい場合は、夜間や日が入らない時間に測ります。

Q

Q4. 蛍光灯をLEDに替えたら暗くなりました。なぜですか?

A

原因はいくつか考えられます。LED器具の光束が以前の器具より少ない場合のほか、光束が近くても、光の広がり方(配光)が変わって机の上や壁・部屋の端が暗く感じることや、取付の高さや配置、台数が変わったことでも照度は変わります。照度計で測ったうえで、ワット数ではなく器具光束(lm)と配光の両方を比べて選び直すのがおすすめです。

Q

Q5. 古い照明は暗くなりますか?

A

器具の汚れや光源の劣化で、使い続けるうちに少しずつ暗くなります。定期的な清掃と点検に加えて、照度計で測って基準を下回っていないか確認すると安心です。

Q

Q6. 必要な台数を計算してもらえますか?

A

部屋の広さ・天井の高さ・用途と、今お使いの器具の型番や台数をお送りいただければ、器具の候補と台数の目安をご提案します。

まとめ

照度基準は、法令の最低限と、JIS の推奨値の2つで考えます。

  • 法令の最低限:事務所は一般的な事務作業で300 lx 以上、工場などは作業に応じて300・150・70 lx 以上
  • JIS の推奨照度(屋内は JIS Z 9125:2023):事務室750 lx、会議室500 lx、廊下・倉庫100 lx などが目安。資料を見るときは規格の年版を確認する
  • 器具はワット数ではなく、器具光束(lm)と台数で目標の照度に届くかを確認する
  • 台数は光束法でおおよそ計算できるが、利用率・保守率を仮定した概算。最終的にはメーカーの照度計算で確認する

LED化や改修の機会に、場所ごとの目標の明るさを決めておくと、器具選びと見積りがスムーズに進みます。

照明の明るさ・台数の検討と、まとめ見積をご相談ください

照明の達人では、部屋の広さ・天井の高さ・用途や、今お使いの器具の型番から、必要な明るさに合ったLED器具の選定と台数の目安、まとめ見積に対応しています。事務所・店舗・倉庫・工場などの一括交換もご相談ください。サイト未掲載の商品もお取り寄せが可能です。

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